5,000円以上のお買い上げで送料無料(沖縄を除く)

The Reuse Generation

1/26/2022

コーヒー大国、オーストラリアで生まれ育った私が日本に移住して感じたこと

移住してすぐ、下北のカフェで働く

ちょうど一年前、日当たりの良いオーストラリアの海岸街を離れて、東京に越してきました。仕事を見つけるまでの数ヶ月は少し大変でしたが、すぐに下北沢にあるオーストラリアンカフェで働くことになりました。バリスタ経験はオーストラリアに住んでいた頃からあったので、自分にぴったりな仕事が見つかったというラッキーな感覚でした。日本に来てからずっと「エスプレッソが恋しい」とどこかで思っていたので、エスプレッソに再会できたのも嬉しかったな。

ご存知の方もいらっしゃるかと思いますが、オーストラリア人はコーヒーが大好きなのです。私もその一人で、東京でもコーヒーシーンを味わえる現場に巡り会えたことにとてもワクワクを感じていました。あれから一年。下北沢ではたくさんのコーヒーを淹れて、その他色々な場所を巡って日本のコーヒーカルチャーに触れてきました。本記事では「消費」というキーワードに焦点を当てて、日本とオーストラリアのコーヒー文化を比べてみます。

母国オーストラリアのコーヒー文化について

日本でも確かな存在感を放つ「サードウェーブコーヒー」ですが、オーストラリアでは今やコーヒー文化の主流を占めるようになってきています。聞いたことはあっても少し曖昧で掴みどころが難しい「サードウェーブコーヒー」。スペシャルティコーヒーに特化したネットメディアPerfect Daily Grindはその定義を「消費者と生産者が共に高品質を求め、持続可能な循環や中間業者を介さないダイレクトトレードやを重んじ、革新的な焙煎方法を用いて浅い焙煎度合いにこだわりを持ったコーヒー文化の潮流のこと」としています。

この第三の波は、世界中のコーヒーファンをより熱心な方向に靡きました。それにしても、オーストラリアはコーヒーを愛しすぎてる。調査会社のStatistaによると、オーストラリア人は2019年単独で一人当たり1.91kgのコーヒーを消費しているとのこと。オーストラリアにいた頃のことを思い返してみると、この数字に納得できてしまう風景がいくつもフラッシュバックします。忙しそうなビジネスマンがロングのコーヒーカップを持ちながら次の目的地まで急いでいる姿。子どものサッカーの試合をみにきたお母さんが、片手に泣いている赤ん坊を抱きながら、もう片方の手にトリプルショットエスプレッソを持っている姿。思春期に突入したばかりのティーネイジャーが街で一番「イケてる」カフェに集い青春を急いでいる姿。オーストラリア時代を振り返ると、コーヒーはたしかに老若男女問わず生活と共にある飲み物でした。

一方で、コーヒーのテイクアウト文化はどうでしょう。日豪のカフェで働いた経験の中で、お持ち帰りされるお客さんの割合は日本の方が多い気がしていました。この肌感覚がどれくらい全体に対応するものなのかを知りたくて、少し調べてみました。Statisticaによると、オーストラリアでのテイクアウト率は全注文の21%。これは、日本、アメリカ、カナダに次ぐ4位の割合です。日本が世界トップレベルにコーヒーをテイクアウトしていることがここでわかりました。

大量すぎるコーヒー消費に意を唱えたKeepCup

コーヒーのお持ち帰り率1位の日本と4位のオーストラリア。環境保全に対する考えはそれぞれの国にどれほど人々に根付いているのでしょうか。まずは、私が生まれ育ったオーストラリアの実情について調べました。オーストラリア小売協会が2019年に行った調査によると、77%のオーストラリア家庭がサステイナブルな暮らしを実現するために何かしらの取り組みをしています。しかしこれもごく最近の動きで、5、6年前までは配慮に欠けた大量消費社会がオーストラリアにも色濃くありました。2016年には10億個のテイクアウトカップが捨てられていた等、コーヒーだけを見てもその実情はあまり明るくなかったです。

テイクアウトカップは、紙とプラスチックが混在して作られています。この性質からリサイクルすることがとても困難で、ひたすらゴミとして埋め立てられていく運命にあります。大量のコーヒーが毎日消費されていく中、どうにかしてこの問題に立ち向かわないといけない。そんな中エコカップは誕生し、繁栄していきました。

そして、エコカップがメインストリームに浮かび上がり、人々が再利用の習慣に感化されるようになったきっかけとも言えるのがKeepCupです。「バリスタスタンダード」と言われるコーヒーを一番美味しく淹れられる素材とシルエットを追求し、カラフルなデザインをいち早く取り入れたことで、エコな習慣をスタイリッシュに体現することが可能となりました。今やKeepCupは、オーストラリアの主要カフェでごく一般的に見るアイテムになっています。一方で、日本はどうでしょう?

コンビニエント過ぎるジャパンの消費社会

一年間日本に住んでみて感じたことは「利便性」こそが日本の消費社会を突き動かしている大きな原動力だということです。日本が世界中から「住みやすい国」と高く評価されている理由もこの「利便性カルチャー」が大きく起因していると思います。どこにいても、10分歩けばコンビニがあり、角を曲がれば自動販売機があり、公共交通機関には1分の狂いもなく、いちごは一つひとつ発泡スチロールで包まれている。スーパーで豆腐を買おうとしたときに、プラスチックの入れ物に入っている豆腐を小さなレジ袋に入れ、更にそれを大きなレジ袋に入れる店員さんに出会ったときはさすがにびっくりしました。豆腐の水分が他に買った商品に移らないようにしてくれていたわけですが、オーストラリアから引っ越してきたばかりの私にはショッキングな出来事でした。バナナは皮という天然パッケージが既にあるのに、またプラスチックに入れなくても・・・と思ったり。お菓子の袋を開けるとまたそこに小袋があってびっくりしたり。利便性が何より重要視される日本が抱えるゴミの問題は、リサイクルだけで解決できる以上だと気づくようになりました。

変化の時代に、私たちができること

先ほど言った通り、日本でのコーヒーのテイクアウト率はオーストラリアのそれよりも高いことがわかっています。コーヒー消費大国のオーストラリアから日本にやってきた者として、エコフレンドリーな習慣を日本のコーヒー文化に紹介し、日本に住む人たちが能動的にサステイナブルな選択をできるようになるための手助けをしたいと強く思っています。

2021年に入り、日本の消費者意識も大きく変わってきています。レジ袋の有料化が導入され、大手コンビニフランチャイザーのローソンではエコカップ割引がはじまり、人々の環境保全に対する一般認識も強くなってきています。サードウェーブコーヒーも日本で広く人気となり、これらのカフェがエコな習慣をコーヒー文化にも積極的に紹介しています。清澄白河、銀座、中目黒などのカフェでおしゃれなTシャツやエプロンなどのオリジナルグッズの隣にエコカップが陳列されているのを見たときは、明るい気持ちになりました。

プラスチック消費に対する人々の考え方をいきなり完全に変えるのは難しいですが、エコバッグを使うなどの小さな行為からはじめられることはたくさんあります。私たちの世代から、コミュニティとしてエコ意識を持って、周りの環境から少しずつ変えていければと切実に思っています。

カート 0

現在カートにはアイテムが入っておりません。